うつ・自律神経のトラブルの解決法 その1
ホーム > うつ・自律神経のトラブルの解決法 その1

うつ・自律神経のトラブルの解決法 その1

2018年03月05日(月)6:37 PM

私の院では半数近くのお客様はうつ、パニック、慢性疲労、自律神経のトラブルを解消するために来店されます。
世間ではカイロプラクティックというと腰痛、肩こり、膝痛等の運動器系のトラブルに有効と考えられ『心の問題』とは無縁のものと思われています。
私自身うつで苦しんだ経験がありカイロプラクティックを学ぶ動機がうつで苦しむ人の助けになりたい事でしたので今現在の自分の臨床に手応えを感じているのですが同業の先生方にも、もっとこのことを知ってほしい、我々の仕事は心の問題も解決する力があるということを知ってほしくうつとカイロプラクティックをテーマに書いていこうと思います。

日本ではうつなどの心の問題は近年更なる増加傾向にあると言われています。
国内のリサーチによるとうつの有病率は10%と世界各国に比べて随分と低いと言う評価がある一方で、厚生労働省による見解では実際の所4人に1人はうつ病に疾患していると考えられているそうです。

うつに対して抗うつ薬等の薬を利用することが重要であり、できるだけ早期に発見し早い時期に服薬を開始することを医療機関などではすすめています。

これは大脳におけるセロトニン等のホルモン分泌異常がうつの病能を引き起こす原因であるとの西洋医学的な考えのもとに、症状を投薬により固定的に緩和させる事を目的とした処方です。
これは治すためのものではなく症状を薬の作用により抑える治療とも言えます。
私は投薬を否定する考えはありません。が薬というのは毒を持って毒を制す一種の毒(刺激)であるから必要な時期に最低限の量が理想ですが私が臨床で見させていただいているうつの患者さんは10年15年と服薬を続けてきた人がザラにいます。
全く問題はないと医者、製薬会社は言い切りますがどうでしょう?長期間精神薬を服用してきたのは人類始まって今現在がはじめてのことであり、はたして問題がないと言い切れるには50年100年後になってみないと本当のところはわからないのではないかと思います。

西洋医学がうつを大脳の機能的な問題と捉える他方で東洋医学は心の問題をどのように捉えているか。
今から1800年前に皇甫謐(こうほひつ)という偉大な医師により書かれた鍼灸甲乙経(しんきゅうこうおつけい)の第一章に精神と五臓についての説明が書かれています。
そこにはどの臓器に異常が起こればどのような感情が起こりやすいかについて説明があり『一般に鍼の治療を行うには患者の精神を判断することが重要である』とあります。
鍼灸甲乙経という本は現代でも読み継がれているほどの世界最古の鍼灸のテキストですがその書物の第一章に書かれていることが【心の安定】が治療の根本であると言っているわけです。

普段私達が使っている”健康”という言葉も康らかな心が健やかな身体を育むという”健体康心”という言葉を略したものですから、まず心の安定がなければいけないということです。

心と内蔵の働きについては東洋医学だけでなくフランスのオステオパシー界重鎮であるジャン・ピエール・バラル先生Jean-Pierre Barral D.O.のUnderstanding the Messages of Your Body: How to Interpret Physical and Emotional Signals to Achieve Optimal Healthにも詳しく紹介されています。

さて東洋医学の観点に話を戻すと、例えば肺が弱ると『悲しみ』の感情が現れやすくなり、脾(消化器系)が弱ると『思い憂い』の感情が現れやすくなる、また腎が弱ると『恐れ恐怖』の感情が現れやすくなる。
悲しみで胸が張り裂けそうだ。。腹が立つ。。あまりに辛く断腸の思い。。昔から心の状態をこのように表現してきたのは五臓の働きと感情が切り離せないことを体験から知っていたからだと思います。
実際に心の元気を失った人の脈をみると肺や脾が弱っている場合が多いです。
肺や脾が弱ると体の気の巡りが弱くなったり停滞を起こしやすくなります。すると気が抜け、やる気が出なくなります。
ちょっとしたことでキレやすくなったり、引きこもったり、最近の若い人に多く見られる問題行動ですがやはり五臓の働きが悪くなるとこのような状態になります。

うつと関係なく思われるかもしれませんが今の日本は病気大国になってしまいました。
生涯にガンにかかる人は2人に1人、昔はなかった病気、花粉症は今やアメリカを抜いて3人に1人。慢性疲労を訴える人も3人に1人。
殆どの死因が生活習慣病によるものです。
今、自然死で自宅の畳の上で死ねる人はほとんどいません。
栄養状態が悪く明日をも知れないストレスにさらされていた戦後の日本のほうが健康な人が今よりずっと多かった、だから復興も出来たのです。
寿命が伸びたという人もいますが健康寿命が伸びたわけではない、先進国で寝たきり寿命が一番長い国になってしまいました。

生活習慣病になる人が多いのとうつになる人が多いのは根は同じところにあります。
悪い生活習慣によって内臓のバランスが狂い感情の狂いが起こっているケースがほとんどです。
生活習慣の何が悪いのでしょう?それは食生活があまりに悪い人が多いのです。

とんでもない!私は至って普通以上に健康に気をつけて生活をしてきたという人もおられるでしょうが、まずは今は読み進めて下さい。
食生活が悪いとまず影響を受けるところは何処になるでしょう?食べたものは胃から腸に進み栄養分を消化吸収され蠕動運動により先に先に食塊が送られ排泄されます。
口から入ってくるものが悪ければ腸内環境が悪くなります、それは結果として内蔵全体の働きを悪化させ精神面での不調の原因となります。

具体的に例をあげますと、不眠が主訴で来店され初回の脈診では髀が弱っており、手足の冷えとむくみがみてとれたAさんは仕事柄、外食中心になりがちな食生活でした。
朝食は自宅でパンにヨーグルト
昼食はコンビニなどのお弁当に栄養バランスを考えサラダか野菜ジュース
夕食は平日は惣菜屋さんでおかず(揚げ物が多い)を購入しパンか冷凍保存しているご飯、週末は居酒屋さんで飲み会が夕食になる場合が多い。
野菜が不足するといけないと思い毎食サラダを購入するか総合サプリメントでビタミンを補っている。
と言う食生活の人です。一見すると平凡な食生活に見えますね・・・しかしこれが問題だったのです。

まずは食養が必要な状態と判断し毎日の食事を指導することから始めていきました。
可能な範囲で食事内容を変えていき、カイロプラクティック施術を週に一回のペースで2ヶ月受けていただきました。
最初の一週間で体のだるさは改善されていき不眠で悩む日が徐々に少なくなっていき2ヶ月目には非常に健康な状態に回復されました。

もしも彼女が食養をせずにカイロプラクティック施術だけ受けたとしたらどういう結果になったでしょう。
おそらく受けたその場は快適になれるでしょうが次の施術までにまたリバウンドする事を繰り返していたでしょう。

私達の身体は食べたもので出来ています。
身体が冷えており代謝が下がっていたAさんは健康になるための力(この力をカイロプラクティックではイネイトインテリジェンスと呼びます)が働きにくい状態です。
Aさんの身体を作っている食べ物をよく見ると
朝食にパン←小麦粉は体を冷やします。ヨーグルト←乳製品を代謝するための酵素を日本人は持っていないため栄養として吸収できません。
昼食にコンビニ弁当←くず米に調味液とシリコンで旨味とつやを与えた米に冷凍加工された気の抜けた惣菜では身体に生きるためのエネルギーは入ってきません。サラダか野菜ジュース←サラダや野菜ジュースは主に夏野菜が多く使用され、それは身体を冷やします。
夕食に惣菜←冷凍保存された加工食品にはエネルギーが入っていない。週末に居酒屋←冷たい飲み物が更に体を冷やします。
身体は必死に栄養を吸収しようとするが、あまり価値ある栄養は入ってこず食品添加物などの毒物が一緒に入るため肝臓や腎臓は解毒のために一層働かされ常に疲労を抱えている状態です。

実際に多くの人が悪くないと考えている食生活もこのような実態なのです。
はっきり言ってこんな最悪な食事で身体を作れば病気になって当たり前ですよ。

食事をまともなものに切り替えるだけで健康になるための力は格段に働くようになります。
健康になるための力を引き出すためのまともな施術を受ければ面白いように人間の体は良くなります。

まともでないものが盛んに宣伝されまともであるかのように認識されているのがこの国の実情でそこをなんとかしないと未来は無いと思います。

少し脱線しましたが・・・
今から120年ほど前にカイロプラクティックはアメリカで生まれました。
一番最初の患者さんは難聴の人、二番目は心臓疾患の患者さん、不思議と治っていくのです。
奇跡のように慢性疾患を次々と治し瞬く間にアメリカ全土に広まっていきました。
まさしくイネイトインテリジェンスが働き健康に導いていくのです。

私がカイロプラクティック学び始めた頃、今から20年近く前ですが腰痛や肩こりの患者さんが多くおられましたが治りは良かったように思います。
ぎっくり腰で抱えられて来院されても帰りは何とか自力で歩いて帰る、次の日には随分とましになっている感じです。
最近は腰痛・肩こりで来れられる患者さんでもお話を伺うと慢性疲労に悩んでいたり不眠があったり体質的に弱い人が増えてきています。
イネイトインテリジェンスの働きが悪いので、その場は良くなってもしばらくするとぶり返す人が増えています。
それだけ食事の質が悪くなって体質が弱くなっている人が増えているということです。

最初に書きましたが今、目の前の患者さんに良くなってもらいたいのに、なかなか良い結果がでないとお悩みの先生も多くおられると思います。
私は(社)日本伝統医療協会で食改善講師の資格を取りました。食育食養について学んだ結果、患者さんに食養指導をするようになり臨床成績は格段に上がりました。
私はカイロプラクティックを業としていますが、例えば鍼灸・整体・ヨガ等の先生でも同じように良い結果を出すことが出来るだろうと思います。
その方々の少しでも参考になればと思いこの文を書いています。

個人的に質問などありましたらお気軽にメールして下さい。
tetto43@gmail.com まで
今後もうつや慢性疲労について書いていきますのでよろしくお願いします。



過去の記事を読む